投資における利益が非課税になるNISA。どうしても金融商品の買い付けにばかり目が行きがちですが、ちゃんと考えておかなければいけないのが、出口戦略。

NISAの非課税期間は、現行制度だと、最長5年。金融商品の購入ができるのは、2023年までとなっていて、2023年に購入した金融商品の非課税期間が終わる2027年には、NISAの制度自体が終了してしまいます。

NISA口座においては、購入から5年経てば、購入した金融商品をどうするかという選択を迫られてしまいます。

実は、NISAの非課税期間終了時には、売却を含めていくつかの選択肢があります。絶対というものはありませんが、状況によって、どのような選択をすべきかというのは異なりますので、しっかりと検討することが大切です。

まだ5年もあると思っていても、5年なんてあっという間ですよね。何事も早めに対応しておいて悪いことはありません。ということで、ここでは、NISAの非課税期間終了時の出口戦略について考えてみましょう。

非課税期間終了時の選択肢はこの3つ

  • 売却
  • 一般口座もしくは特定口座への移管
  • ロールオーバー

NISAの非課税期間終了時の対応としては、売却の他にも2つの方法が考えられます。一般口座もしくは特定口座といった通常の証券口座への移管、ロールオーバーの2つです。非課税期間が終了する際には、これら3つの選択肢の中から、その後の対応を考えなければなりません。

絶対にこうすべきというものはありませんが、しっかりと検討しないと、NISAのメリットを得られなかったり、NISAを利用することによって損をしてしまうケースすらありますので、注意が必要です。

どうすべきかは利益が出ているかどうかで決まる

非課税期間終了時にどの選択肢を選ぶべきかというのは、非課税期間終了時に利益が出ているかどうかによって決まります。

ここで、改めて押さえておきたいのが、NISAのメリットとデメリットです。NISAのメリットとデメリットを超簡単にまとめると、以下の通りになります。

NISAのメリットとデメリット

NISAのメリット
NISA口座で得た利益が全額非課税になる。
NISAのデメリット
損失が出ても、損益通算と繰越控除の対象外となる。

NISAのメリットについては、おそらくよくお分かりかと思いますが、NISA口座で損失が出た場合は、損益通算と繰越控除の対象外になるというNISAのデメリットについても、頭に入れておく必要があります。

利益が出ていなければ売却は損!

NISAのメリットとデメリットを考えると、利益が出ていない場合に安易に売却するのは、あまり賢い選択ではないということが分かります。

利益が出ていないので、NISAのデメリットを享受できないばかりか、確定させた損失に対しては、損益通算と繰越控除が適用されないからです。

ということで、NISAの非課税期間終了時に保有資産が値下がりしている場合には、一旦、売却ではない他の選択肢についても検討してみましょう。

一般口座や特定口座への移管もできる

非課税期間終了時には、NISA口座にて保有していた資産を一般口座や特定口座に移管させることもできます。ただ、この場合も、利益が出ているかどうかで取り扱いが変わってくる部分がありますので、注意が必要です。

移管時に利益が出ている場合

NISA口座から一般口座もしくは特定口座に移管する際に、利益が出ている場合は、NISAにおけるメリットをそのまま享受することができます。

口座を移管すると、移管時の価格が新たな取得価格となります。NISA口座にて保有していた金融商品を一旦売却して、一般口座や特定口座にて新たに取得するイメージです。このとき、移管時に利益が出ていれば、NISA口座からの売却と同様に、利益に対する税金は一切かかりません。

例えば、NISA口座にて100万円投資して、非課税期間終了時に120万円まで値上がりしているケースを考えてみましょう。この場合、一般口座もしくは特定口座に全額を移管させると、120万円が新たな取得価格となり、20万円の利益が出たことになりますが、この20万円に対しては、課税されることはありません。そして、移管後の口座においては、新たな取得価格である120万円を超えて発生した利益に対して課税されることになります。

つまり、売却との違いは、NISA口座にて保有していた金融商品を換金するか、新たな口座で保有し続けるかの違いであって、どちらも、利益が非課税になるというメリットは享受できるということになります。

移管時に損失が出ている場合

移管時に利益が出ている場合は、一般口座や特定口座に移管させることでメリットを享受できますが、損失が出ている場合、売却時と同じで、NISAのメリットを享受することはできなくなってしまいます。

移管時に損失が出ている場合についても、NISA口座からの移管時の価格が新たな取得価格となります。ここで注意が必要なのは、移管後の口座において課税対象となる利益は、NISA口座において取得した価格から値上がりして得た利益ではなく、口座移管後の新たな取得価格から値上がりして得た利益だという点です。

どういうことかというと、NISA口座において100万円投資して、非課税期間終了時に80万円まで値下がりしていた場合、20万円の損失が出たことになり、移管後の新たな取得価格は、80万円となります。これが、移管後の一般口座や特定口座において120万円まで値上がりしたとすると、課税対象となるのは、当初のNISA口座における取得価格である100万円からの値上がり幅である20万円ではなく、移管時の取得価格である80万円からの値上がり幅である40万円となります。

これだと、NISAを利用した意味が一切なくなってしまうので、非課税期間終了時に一般口座や特定口座に移管させることもメリットがあるとは言えませんね。

ロールオーバーで値上がりを待つのもひとつの方法

非課税期間終了時に損失が出た場合、売却も一般口座や特定口座への移管もおいしくないとなれば、残された手段はロールオーバーです。

ロールオーバーは、NISA口座における金融商品を売却せずに、翌年の非課税投資枠を使って繰り越すことです。ロールオーバーを使うことで、NISAの非課税期間を5年から最長10年まで延ばすことが可能になります。翌年の非課税投資枠を使って、売却を猶予することができるということです。

ロールオーバーをしても、猶予されるだけですので、ロールオーバー後に利益が出ていなければ、NISAのメリットは得られないのですが、非課税期間終了時に損失が出ているのであれば、検討すべき選択肢のひとつとなります。

ロールオーバーをして、利益が出れば、万々歳ですし、利益が出ないまでも、非課税期間終了時よりも値上がりすれば、ロールオーバーをした価値はあったことになります。非課税期間終了時において、今後少し手も値上がりが見込めるのであれば、ロールオーバーは有力な選択肢になりますよね。

ただ、ロールオーバーをしたことによって更に値下がりしてしまえば、ただ損失が膨らんだだけということにもなりますので、早めに損切りしておいた方が良かったということにもなってしまいます。結局のところ、将来のことは誰にも分かりませんからね。これを言ってしまえば、元も子もないですが…

NISA口座では、確実に利益が見込めるような堅実な投資をすべきという理由はここにあります。

NISAでは、利益が全額非課税になるので、ガンガン大きな利益を狙いたくなるのですが、NISA口座において利益が出ないと、メリットを享受できないばかりか損益通算や繰越控除まで利用できなくなってしまいます。更に、非課税期間終了時に悩ましい問題が出てくるという…(笑)

ちなみに、ロールオーバーができるのは、各年120万円までです。1年間における非課税投資枠が120万円ですので、それを超えるロールオーバーはできません。120万円を超えた金額については、売却するか一般口座や特定口座に移す必要があります。

利益が出なかった場合は、ロールオーバーを検討してみると良いですが、NISAのメリットを活かすために何より大切なのは、堅実な投資ということになります。