投資信託の目論見書等を見ていると、ファミリーファンド方式やファンドオブファンズといった言葉を見かけることがあります。ファミリーファンド方式とファンドオブファンズというのは、どちらも、投資信託の運用スタイルを表しているのですが、これらは、どのような運用スタイルなのでしょうか。また、これらの間には、どのような違いがあるのでしょうか。
ファミリーファンド方式とは
ファミリーファンド方式とは、ベビーファンドがマザーファンドに投資をする運用スタイルのことを言います。マザーファンドの下に、ベビーファンドがくっついているようなイメージですね。
ファミリーファンド方式を取っている投資信託の場合、投資家が購入する投資信託がベビーファンドにあたります。ベビーファンドは、マザーファンドに投資をすることで、運用を行っていきます。そして、マザーファンドが、株式や債券等に投資を行っていくことになります。
投資家が購入するベビーファンドは、それ自体が、株式や債券等に投資を行うのではなく、マザーファンドを通して、間接的に、株式や債券等に投資を行っています。実際に、株式や債券等に投資を行っているのは、あくまでも、マザーファンドということです。
ファミリーファンド方式のメリットとデメリット
ファミリーファンド方式のメリットとしては、運用会社からすると、マザーファンドは、複数のベビーファンドを通して資金を集められるため、運用の規模を大きくしたり、運用の効率化を図ることができます。
一見、投資家にとっては、メリットはないようにも思いますが、ファミリーファンド方式を取っている投資信託の場合、ベビーファンドの純資産総額が小さくても、マザーファンドの純資産総額が大きければ、比較的安定的な運用が期待できると言えます。
投資信託の純資産総額が小さいと、安定的な運用を行えず、繰上償還といった危険性も考えられます。投資信託を選ぶ際、純資産総額が小さいものには、少しばかり気を付けておいた方が良いと思いますが、ファミリーファンド方式の場合は、マザーファンドさえしっかりしていれば、ベビーファンドの純資産総額は、それほど神経質にならなくても良いでしょう。
逆に、デメリットは、特に考えられませんので、ファミリーファンド方式だからといって敬遠する必要はありません。
ファンドオブファンズとは
ファンドオブファンズは、投資家が購入した投資信託が、別の投資信託に投資をすることで運用を行うスタイルのことを言います。マザーファンドやベビーファンドといった概念はなく、別の投資信託に投資をすることで、運用を行う投資信託といったイメージです。
そのため、ファンドオブファンズを取っている投資信託も、ファミリーファンド方式のベビーファンドと同じように、株式や債券を直接は購入しないのが、一般的です。
ファンドオブファンズのメリットとデメリット
ファンドオブファンズのメリットとしては、分散投資が容易にできる点が挙げられます。ファンドオブファンズでは、多様な資産に分散投資を行っている複数のファンドに対して、投資を行うことになりますので、個人レベルの少額の資産では、難しい分散投資を容易に行うことができます。
対するデメリットは、コストが高めという点です。ファンドオブファンズの場合は、投資家が購入する投資信託だけでなく、購入した投資信託が投資をする投資信託の信託報酬も負担しなければなりませんので、手数料が高めに設定されているのが、一般的です。
ファミリーファンド方式とファンドオブファンズの違い
ファミリーファンド方式とファンドオブファンズは、似たような運用スタイルですが、両者の違いとして、少し気を付けておいた方が良い点もあります。
というのは、ファミリーファンド方式に比べ、ファンドオブファンズの方が、コストが高くなりがちという点です。
ファミリーファンド方式では、マザーファンドに投資ができるのは、同じ運用会社のベビーファンドだけで、マザーファンドは、ベビーファンドから信託報酬を取ることができません。ということは、投資家は、ベビーファンドの信託報酬のみを負担すれば良いということになります。
しかし、一方のファンドオブファンズは、違います。ファンドオブファンズの場合は、運用会社が異なっていても、投資を行うことができます。つまり、投資家が購入する投資信託の信託報酬については、当然、負担しなければならないですし、購入した投資信託が投資を行うファンドの信託報酬についても、負担する必要があります。コストが倍以上かかってしまうということですね。
ファミリーファンド方式でもファンドオブファンズでもどっちでもいいと考えてしまいがちですが、ファンドオブファンズの場合は、コストが高めということだけは、頭の片隅にでも置いておくと良いですよ。