確定拠出年金(DC)とは、老後のために、毎月決まった金額を積み立てて、資産を運用していく私的年金制度です。日本では、アメリカの401kという確定拠出年金制度に倣って、日本版401kと呼ばれたりもします。

確定拠出年金では、毎月積み立てる拠出額は決まっていますが、もらえる金額については、運用の結果に左右されますので、給付を受けるときになってみないと、分かりません。拠出額が確定しているから、確定拠出年金という訳です。ちなみに、これに対して、給付額が確定している年金制度を確定給付年金と言います。

何やら難しそうな確定拠出年金制度。まだまだ普及しているとは言えないのが実際のところで、利用している方も、お世辞にも多いとは言えません。しかし、確定拠出年金から得られるメリットは、非常に大きく、誰が利用しても得をすると言っても過言ではないのです。

ということで、ここでは、なんとなく難しそうなイメージを持っている確定拠出年金制度についての基本情報をまとめておきます。利用しないと損とも言える制度でもありますので、どのような制度なのか、しっかりと理解しておきましょう。

確定拠出年金のメリットとデメリット

確定拠出年金には、大きな節税になるというメリットがあります。老後の資金のために資産運用を行うのであれば、間違いなく、確定拠出年金を利用した方がお得です。

ただし、デメリットと言うには大げさかもしれませんが、注意すべき点もありますので、事前に頭に入れておく必要がありますよ。

確定拠出年金のメリット

確定拠出年金のメリットは、税制上の優遇が受けられるという点。大きな節税になるのです。確定拠出年金を利用すると、拠出時、運用時、受取時に税制優遇措置が適用されます。

拠出時の税制優遇措置

個人型確定拠出年金の場合、掛金を自分で負担することになりますが、確定拠出年金の掛金については、全額が所得控除されます。

確定拠出年金の掛金は、年末調整や確定申告において、全額を小規模企業共済等掛金控除として所得から控除することができますので、拠出した金額を全額そのまま所得から除いて税金を計算できるということになります。

運用時の税制優遇措置

通常、投資で得た利益については、20.315%の税金がかかりますが、確定拠出年金で運用した場合、運用益に対しては、税金が一切かかりません。

受取時の税制優遇措置

確定拠出年金では、給付を受ける際にも、税金が軽減されます。60歳以降になった場合に受け取れる老齢給付金を一時金として受け取った場合には、退職所得となり、退職所得控除の対象となります。また、老齢給付金を年金として受け取る場合は、雑所得となり、公的年金等控除の対象となります。

確定拠出年金のデメリット

確定拠出年金を利用するにあたって、注意が必要なのが、原則、解約ができないという点です。一度、確定拠出年金の制度を利用すると、基本的には、解約ができませんし、給付条件を満たさない限り、掛金を途中で引き出したりすることもできません。

年金の主な用途は、老後の生活資金ですので、確定拠出年金においても、原則60歳までは受け取ることができないということになります。

そのため、運用しながら使いたいという方には、あまり向かない制度かもしれません。

また、運用成果によって給付額が決まる制度ですので、掛金よりも給付額の方が少なくなることもあり得ます。ただし、確定拠出年金の対象となる金融商品には、定期預金のように元本が保証されているものもありますし、金融商品次第でリスクとリターンは、自分でコントロールできますので、アセットアロケーションを考えた上で、運用先を選ぶようにしましょう。

確定拠出年金には個人型と企業型がある

確定拠出年金には、個人型確定拠出年金(個人型DC)と企業型確定拠出年金(企業型DC)の2種類があります。

個人型確定拠出年金とは

個人型確定拠出年金は、個人が掛金を負担する確定拠出年金制度です。iDeCo(イデコ)と言われた方が分かりやすいかもしれませんね。iDeCoというのは、この個人型確定拠出年金のことを指しています。

個人型確定拠出年金を利用するかどうかは、完全に任意で、個人型確定拠出年金を利用する場合は、金融機関で利用の申込をします。

企業型確定拠出年金とは

企業型確定拠出年金は、企業が掛金を負担する確定拠出年金制度です。

企業型確定拠出年金については、企業型確定拠出年金を導入している企業に勤めている方のみ利用できます。企業型確定拠出年金は、各企業が、退職金制度の代わりや福利厚生の一環として導入しているものですので、導入していない企業にお勤めの場合は、いくら利用したくても、利用できません。

個人型確定拠出年金の加入対象者

確定拠出年金は、60歳未満の方を対象としています(企業型確定拠出年金については、最長65歳まで延長可)。

また、企業型確定拠出年金には、企業型確定拠出年金を導入している企業にお勤めの方しか加入することができませんが、対する個人型確定拠出年金については、平成29年1月からは、どのような方でも加入できるようになります。

ただし、平成28年以前は、誰もが個人型確定拠出年金に加入できるという訳ではありません。個人型確定拠出年金に加入できる対象者には条件があります。

平成28年以前の個人型確定拠出年金加入対象者

平成28年以前については、個人型確定拠出年金に加入できるのは、自営業者(国民年金第1号被保険者)、お勤め先で企業年金に加入していないサラリーマンの方(国民年金第2号被保険者)のみです。

企業年金に加入しているサラリーマンの方や公務員の方、専業主婦(国民年金第3号被保険者)の方には、加入資格がありません。

これが、平成29年1月からは、お勤め先で企業年金に加入しているサラリーマンに加え、公務員の方や専業主婦の方でも、個人型確定拠出年金に加入できるようになるということです。

確定拠出年金の掛金の上限

確定拠出年金の掛金は、それぞれの加入者が自由に決めることができますが、上限というのが決まっています。

個人型確定拠出年金の掛金の上限

個人型確定拠出年金の掛金の上限については、以下のようになっています。

自営業者 月額68,000円(年額816,000円)
専業主婦 月額23,000円(年額276,000円)
サラリーマン(企業年金未加入) 月額23,000円(年額276,000円)
サラリーマン(企業型DCにのみ加入) 月額20,000円(年額240,000円)
サラリーマン(確定給付型企業年金と企業型DCに加入) 月額12,000円(年額144,000円)
公務員 月額12,000円(年額144,000円)

企業型確定拠出年金の掛金の上限

対する企業型確定拠出年金の掛金の上限については、以下の通りです。

厚生年金基金も確定給付型年金もない企業 月額55,000円(年額660,000円)
厚生年金基金もしくは確定給付型年金がある企業 月額27,500円(年額330,000円)

確定拠出年金の運用方法

確定拠出年金では、自分で資産の運用方法を選択することになります。定期預金や年金保険、投資信託といった金融商品を購入して、拠出した資金を運用していくのです。結局は、自分で資産運用をしていくのと同じですね。それが、確定拠出年金という枠組みの中で行われるというだけです。

確定拠出年金の対象となる金融商品は、それぞれの金融機関によって異なります。

定期預金のように元本が保証された商品もあれば、投資信託のように元本は保証されていない分得られるリターンが大きな商品もあります。既に、毎月預金や投資信託を積み立てているのであれば、確定拠出年金を利用して、それを行うのも、節税のための賢い選択です。

確定拠出年金の給付

確定拠出年金は、以下の3つのケースに該当した場合、給付を受けることができます。

給付金 給付要件 受取方法 受取人
老齢給付金 受給可能年齢に到達した場合 年金もしくは一時金 本人
障害給付金 70歳到達前に障害を受けた場合 年金もしくは一時金 本人
死亡一時金 加入者が死亡した場合 一時金 遺族

老齢給付金の給付開始年齢

老齢給付金の給付開始年齢は、確定拠出年金の加入期間によって、以下のように異なります。

加入期間 受給可能年齢
10年以上 60歳
8年以上10年未満 61歳
6年以上8年未満 62歳
4年以上6年未満 63歳
2年以上4年未満 64歳
1年以上2年未満 65歳